この記事でわかること
- 会社設立に税理士が「必須」かどうか
- 税理士を依頼するメリットと不要なケース
- 税理士に相談・依頼するベストタイミング
- 税理士にかかる費用の相場とサービス内容
はじめに:会社設立に税理士は必要?それとも不要?
「会社を設立しようと思っているけど、税理士って必要なのかな?」
これは、起業を考える多くの方がぶつかる疑問です。実は、会社設立に税理士は法律上必須ではありません。自分で手続きを行うこともできますし、行政書士や司法書士の力を借りて設立することも可能です。
しかし、設立前や設立直後に税理士に相談することで、税務トラブルを防ぎ、節税や融資支援など多くのメリットを得られるのも事実です。
この記事では、「税理士が本当に必要なのか?」を判断するための基準や、依頼する際の費用やタイミングについて詳しく解説します。
会社設立に税理士は「必須」ではないが、早期相談がおすすめな理由
会社設立において、税理士の関与は法律上の義務ではありません。つまり、「税理士に依頼せずに起業する」ことも理論的には可能です。
ただし、次のようなリスクが潜んでいます。
- 税務署への届出が遅れ、青色申告ができない
- 消費税の免税期間を失う選択をしてしまう
- 融資や助成金の申請で不利になる
- 会計処理にミスが生じ、税務調査で指摘される
このような問題を未然に防ぐためにも、早期の相談が重要です。
税理士が不要なケースとは?
では逆に、「税理士に依頼しなくても問題ないケース」はどのような場合でしょうか?
税理士が不要な主なケース
ケース | 解説 |
---|---|
自分で設立手続きを完了できる | 定款作成や登記申請などを自分で行えるスキルがある場合 |
小規模な事業で経理処理が少ない | 創業間もなく、取引件数も少ない事業 |
会計ソフトを使いこなせる | freeeやマネーフォワードなどのツールを適切に活用できる |
売上が1,000万円未満 | 消費税の課税対象外のため、処理が比較的簡単 |
特に、売上が小規模で記帳業務が少ないスタートアップや、経理の知識がある起業家の場合は、最初の1〜2年は税理士なしでも対応可能な場合があります。
税理士に依頼する5つのメリット
起業直後に税理士に相談・依頼することで得られるメリットは非常に大きいです。
1. 税務ミスを防ぎ、節税対策ができる
- 法人設立後の「青色申告の承認申請」や「消費税課税方式の選択」など、期限内に提出しなければならない書類があります。
- 税理士は適切なタイミングと書類を的確に指導してくれるため、税金で損をするリスクを大幅に減らせます。
2. 補助金・融資・助成金のサポート
- 創業融資(日本政策金融公庫など)や各種補助金の申請には事業計画書の作成や決算書の整備が不可欠です。
- 税理士は審査に通りやすい書類の作成をサポートしてくれます。
3. 会計・経理をアウトソースして本業に集中
- 記帳・仕訳・給与計算など、事務作業に追われる時間を削減できます。
- その分、マーケティングや商品開発など、本業に集中できます。
4. 決算や申告業務を代行してくれる
- 決算書や法人税の申告書作成は非常に複雑で専門知識が必要です。
- 税理士に任せることで、ミスや遅延を防ぎ、安心して期末を迎えられます。
5. 税務調査対応や将来的な節税提案も
- 万が一税務調査が入っても、税理士が立ち会い・説明してくれます。
- さらに、将来的な節税対策や事業計画の改善提案も受けられます。
税理士に相談すべきタイミングとは?
税理士は、いつから依頼するのがベストなのでしょうか?
おすすめの相談タイミング
タイミング | 理由 |
---|---|
会社設立の前 | 設立時の資本金・決算月・役員報酬の設計など、将来に関わる重要な決定をアドバイスしてもらえる |
設立直後(3ヶ月以内) | 各種届出書の提出や、記帳体制の整備を相談できる |
初年度の決算前(9〜12ヶ月後) | 決算対策や節税相談の最適なタイミング |
年商が1,000万円を超えそうな時 | 消費税の課税事業者となる前に、税務戦略を立てるべき |
特に、会社設立前後の相談が最もコストパフォーマンスが高いと言えます。
税理士にかかる費用とサービス内容
では、税理士に依頼するとどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
一般的な費用の目安
サービス内容 | 費用の目安 | 内容詳細 |
---|---|---|
設立手続き代行 | 約10〜20万円 | 定款作成、登記書類一式の作成と提出代行 |
顧問契約(月額) | 約2〜5万円 | 記帳代行、税務相談、給与計算など |
決算・申告業務 | 約10〜20万円 | 法人税・消費税の申告書作成、決算書作成 |
スポット相談 | 1〜2万円/回 | 書類のチェックや税務アドバイス |
契約内容や業種、地域によって金額は異なるため、複数の税理士事務所から相見積もりを取るのが安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 税理士に依頼しないとどんなリスクがありますか?
A. 青色申告や消費税の選択届など、提出漏れで数十万円単位の損失になることがあります。また、税務署からの指摘で修正申告や加算税が発生するリスクもあります。
Q. 開業時は行政書士や司法書士だけで大丈夫?
A. 設立登記の段階では司法書士の方が適しているケースもありますが、設立後の運営や税務は税理士の領域です。両者を組み合わせて依頼するのがベストです。
Q. 税理士はいつでも変更できますか?
A. 顧問契約は通常1年ごとの更新が多く、更新前であれば変更は可能です。契約書に記載された解除条件を必ず確認しましょう。
Q. 初回相談だけでも大丈夫ですか?
A. 多くの税理士事務所では初回無料相談を実施しています。スポット相談だけでも活用できますので、気軽に問い合わせてみるのがおすすめです。
まとめ:会社設立時に税理士は「相談すべき存在」
- 税理士は「会社設立に必須ではない」が、設立前〜設立後の早い段階で相談することで大きなメリットが得られます。
- 特に節税・融資・補助金・届出書類など、事業のスタートに直結する要素で専門的なサポートを受けられます。
- 費用はかかりますが、事業の成長やリスク回避を考えると、投資として十分な価値があります。