✅ この記事でわかること
- 青色申告ができる人の条件(対象者・所得の種類)
- 青色申告の申請手続きと期限
- 青色申告特別控除(65万円・55万円・10万円)の条件
- 帳簿付けや電子申告など実務上のポイント
- 初心者が失敗しやすい注意点
青色申告とは?
青色申告とは、正しい帳簿管理や税務申告をすることで、税制上の特典を受けられる制度です。主に個人事業主や不動産オーナー、副業で収入を得ている人が対象となります。
最大65万円の青色申告特別控除や、赤字の繰越、家族への給与支払いの必要経費化など、白色申告にはない多くのメリットがあります。
青色申告ができる人と対象となる所得
青色申告ができるのは、以下の3つの所得に該当する人です。
所得の種類 | 内容 |
---|---|
事業所得 | 商売・フリーランス・農業・工業などで得た利益 |
不動産所得 | 賃貸物件など不動産から得た収入 |
山林所得 | 山林の伐採・譲渡による収入(特殊なケース) |
給与所得や雑所得は対象外ですが、これらと別に事業所得などがある人は青色申告の対象になれます。
青色申告の申請に必要な書類と期限
青色申告を始めるには、以下の書類を提出する必要があります。
書類名 | 提出期限 | 提出先 |
---|---|---|
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) | 開業から1ヶ月以内 | 所轄の税務署 |
青色申告承認申請書 | 青色申告を始める年の3月15日まで(新規開業の場合は開業日から2ヶ月以内) | 所轄の税務署 |
期限を過ぎると、その年は青色申告ができなくなり白色申告扱いになるので注意が必要です。
青色申告特別控除の種類と条件
青色申告をすると「青色申告特別控除」が受けられます。控除額は最大65万円で、条件によって以下のように分かれます。
控除額 | 要件 |
---|---|
65万円控除 | ・複式簿記で記帳 ・貸借対照表と損益計算書を提出 ・e-Taxまたは電子帳簿保存による申告 |
55万円控除 | ・複式簿記で記帳 ・書面で申告(e-Taxでない) |
10万円控除 | ・簡易帳簿で記帳 ・帳簿の保存が適正に行われている場合 |
帳簿の種類と保存義務
青色申告をするには、正確な帳簿付けが必須です。帳簿の種類と保存義務は以下の通りです。
帳簿の種類 | 内容 | 保存期間 |
---|---|---|
主要簿(仕訳帳・総勘定元帳) | すべての取引を記録する基本帳簿 | 7年 |
補助簿(売掛帳・現金出納帳など) | 補足的に必要な帳簿 | 5~7年(内容による) |
会計ソフトを使うと簡単に複式簿記に対応できます。freeeや弥生会計などが人気です。
【比較表】控除額別の条件まとめ
控除額 | 複式簿記 | 電子申告 or 電子帳簿保存 | 書面申告 | 貸借対照表提出 |
---|---|---|---|---|
65万円 | 必須 | 必須 | × | 必須 |
55万円 | 必須 | × | 可 | 必須 |
10万円 | 不要(簡易簿記可) | × | 可 | 不要 |
よくある質問
Q1. 開業届を出していないと青色申告はできないの?
→はい。開業届を出していないと「青色申告承認申請書」も出せず、青色申告はできません。
Q2. 65万円控除を受けたい場合、e-Taxは必須?
→はい。複式簿記に加えて「e-Tax」または「電子帳簿保存」が必要です。紙の申告では55万円止まりになります。
Q3. 給与所得者でも青色申告できる?
→給与所得とは別に「事業所得」や「不動産所得」があれば可能です。副業で事業をしている人にも適用されます。
Q4. 初年度の青色申告で申請書を出し忘れたら?
→その年は白色申告となり、翌年から改めて青色申告の承認を受ける必要があります。
まとめ
青色申告は正しい帳簿付けと事前の申請を行えば、税金面で大きなメリットを受けられる制度です。とくに65万円控除を受けるには、複式簿記・e-Tax・期限内の申請という条件がそろっている必要があります。
はじめての方は、まずは開業届と青色申告承認申請書の提出からスタートしましょう。会計ソフトを活用すれば帳簿の作成もスムーズです。