合同会社設立と実印の重要性
合同会社を設立する際、「実印(代表印)」の届出は避けて通れない手続きのひとつです。会社の実印は、登記申請書類や各種契約書に押印する法的効力を持つ印鑑であり、その作成内容には注意が必要です。特に混乱しやすいのが、「実印の内枠に何を記載すべきか」という点です。
本記事では、合同会社の実印における内枠の基本知識と、実務上正しく使われている文言について、わかりやすく解説します。
実印の構成:外枠と内枠
実印のデザインは、以下の2つのパーツに分かれています。
- 外枠(外円):会社名(商号)を記載する部分
- 内枠(中央):代表者の立場を示す文言を記載する部分
たとえば、外枠に「合同会社〇〇」、内枠に「代表社員之印」といった形式が一般的です。
合同会社の実印における内枠の正しい表記
合同会社の実印の内枠として、登記実務で問題なく使えるのは以下の3つです。
- 代表社員之印
- 代表者印
- 代表之印
これらはいずれも法務局への届出や公的書類への押印に用いて支障のない表記です。特に「代表社員之印」は、合同会社の代表権を持つ者を正確に示す表現として最も一般的に使用されます。
なぜ「代表社員之印」が適切なのか?
合同会社では、株式会社と異なり「代表取締役」という役職は存在しません。代わりに「代表社員」という制度が設けられており、これが登記上の正式な呼称となります。
そのため、「代表社員之印」は、法務局への提出書類でも問題なく通用する内枠の表現であり、合同会社の代表印として最も推奨されます。
「代表者印」「代表之印」は使ってもいいの?
はい、使って問題ありません。
- 代表者印:代表権を持つ人物を示すため、汎用的に使われています。会社の代表が一人であれば、合同会社でも使うことができます。
- 代表之印:やや古風な表現ですが、意味としては「代表者の印」と同じく、登記実務上の使用に差し支えはありません。
使用すべきでない内枠表記
以下のような内枠は、合同会社の実印としては不適切です。
- 代表取締役印
- 取締役印
- 会長印
これらは株式会社における役職を示すものであり、合同会社には存在しない制度です。誤って使用すると、登記申請が受理されないリスクがあります。
実印作成の流れと注意点
実印は会社設立登記前に準備しておく必要があります。以下の手順で作成を進めましょう。
- 会社名(商号)を確定
※「合同会社〇〇」という表記を必ず含める - 内枠の文言を決定
※「代表社員之印」など、正しい文言を選択 - 印鑑の注文(オンライン・店頭)
- 印影確認と調整
※誤字やバランスの悪い印影に注意 - 完成後、登記書類へ押印して提出
印鑑サイズ・素材の選び方
実印のサイズは、法人用であれば16.5〜18mmが一般的です。素材としては以下のようなものがあります。
- 柘(つげ):安価でスタンダード
- 黒水牛:高級感と耐久性がある
- チタン:耐久性が極めて高く、最近人気
会社の信頼性を示す道具でもあるため、長く使える素材を選ぶことをおすすめします。
まとめ:実印の内枠選びは「正確さ」が鍵
合同会社の実印において、内枠の表記は登記の成否に関わる重要な要素です。誤った役職名を使用すると、登記のやり直しや再提出の手間が生じる可能性があります。
- 内枠には「代表社員之印」「代表者印」「代表之印」が一般的かつ適切
- 「代表取締役印」などの株式会社向け表記はNG
- 作成前に印影や商号の確認を徹底することが重要
正確な知識で、スムーズに合同会社を設立しましょう。