この記事でわかること
- 補助金に関する会計処理の基本が理解できます
- 仕訳で使う勘定科目やタイミング別の処理方法がわかります
- 補助金の課税・非課税の判断基準がわかります
- 実際の仕訳例をもとに処理の流れをイメージできます
- 圧縮記帳などの特例処理についても学べます
補助金の仕分けとは?|基本知識と位置づけ
企業や個人事業主が国・自治体から受け取る補助金は、収益に該当するため、正確な仕訳が求められます。ただし、その性質や使途により会計処理が異なる点も多く、消費税や税務上の注意も必要です。
まずは、補助金の仕分けで押さえるべき基本を解説します。
補助金の勘定科目|なぜ「雑収入」になるのか?
補助金の勘定科目は原則として「雑収入」を使います。
しかし、内容によっては以下のような科目を使用するケースもあります。
補助金の内容 | 使用する勘定科目 | 補足 |
---|---|---|
事業の収益補填 | 雑収入 | 一般的な補助金処理 |
設備投資補助金 | 固定資産圧縮損 | 圧縮記帳を行う場合 |
給与支援など | 助成金収入(雑収入) | 内容に応じて名称変更も可 |
※「補助金収入」といった独自の勘定科目を設けることも可能ですが、税務処理との整合性に注意が必要です。
補助金の仕訳タイミング|3つのフェーズに分解
補助金の仕訳は、下記3つのタイミングで処理が分かれます。
フェーズ①:交付決定時(未収金処理)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未収入金 | 100万円 | 補助金収入(雑収入) | 100万円 |
※この時点で収益計上します。入金がまだでも「発生主義」に基づき処理。
フェーズ②:実際の入金時
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 100万円 | 未収入金 | 100万円 |
フェーズ③:設備投資を行った場合(圧縮記帳)
補助金で取得した固定資産は、圧縮記帳によって取得価額の一部を損金処理可能です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
固定資産圧縮損 | 100万円 | 固定資産 | 100万円 |
補助金と消費税の関係|課税・非課税の分岐点
補助金の消費税課税の判断は非常に重要です。
基本的には「対価性」があるかどうかがポイントです。
補助金の種類 | 消費税課税 | 解説 |
---|---|---|
雇用調整助成金など | 非課税 | 取引対価でないため |
販促費補助(販売支援) | 課税 | 対価性ありと判断される可能性あり |
設備補助金 | 非課税 | 設備そのものは課税対象だが、補助金は非課税 |
よくある補助金の仕訳例|ケース別に解説
ケース①:IT導入補助金を活用した場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
ソフトウェア | 200万円 | 普通預金 | 100万円 |
補助金収入(雑収入) | 100万円 |
※補助金分を収入計上し、後に圧縮記帳の処理を行うことも可能。
ケース②:小規模事業者持続化補助金を受けた場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
広告宣伝費 | 50万円 | 普通預金 | 25万円 |
補助金収入(雑収入) | 25万円 |
補助金の会計処理で失敗しないポイント
- 収益認識のタイミングに注意:実際の入金よりも「交付決定日」で認識
- 科目の統一性を保つ:税務調査で説明できるよう明確に分類
- 消費税の処理を慎重に:誤ると追徴課税のリスクも
- 圧縮記帳を活用する場合は税理士と相談を:適用条件を満たす必要あり
よくある質問(FAQ)
Q1. 補助金は売上になりますか?
A. 通常の「売上」ではなく「雑収入」などの営業外収益として処理します。
Q2. 補助金に消費税はかかりますか?
A. 通常は非課税ですが、対価性があるものは課税対象になる可能性があります。
Q3. 未収金処理とは何ですか?
A. 補助金が交付決定されたが未入金の際に「未収入金」で処理します。
Q4. 圧縮記帳って何ですか?
A. 補助金で取得した固定資産の価値を一部損金処理できる特例です。
まとめ
補助金の仕訳は、単純な「雑収入」処理に見えて、税務や会計の面で奥が深いテーマです。誤った処理をすると、税務調査で指摘される可能性もあるため、基本の流れと課税判断を正確に理解しておくことが重要です。
特に、交付決定と入金のタイミングのズレ、圧縮記帳の要否、消費税の課税判断などは、専門家と相談しながら処理することをおすすめします。