この記事でわかること
- 行政書士が会社設立で対応できる業務範囲
- 会社設立にかかる費用とその内訳(株式会社・合同会社別)
- 行政書士に依頼する際のメリットとデメリット
- 実際の依頼から会社設立までの流れ
- 信頼できる行政書士の選び方のポイント
行政書士が担当できる会社設立の業務とは?
行政書士は、**会社設立時の「定款作成」や「定款認証の代理申請」**を専門とする国家資格者です。以下の表をご覧ください。
項目 | 行政書士ができる業務 | 備考 |
---|---|---|
定款の作成 | ○ | 法律に準拠した内容に整える |
電子定款の作成・認証代行 | ○ | 印紙代4万円を節約できる |
登記申請書類の作成 | △ | 作成は可能だが、提出は司法書士が必要 |
登記申請の代理 | × | 司法書士の業務範囲 |
許認可申請 | ○ | 飲食業、建設業など業種により専門性あり |
税務署等への開業届 | △ | 基本的には税理士が対応 |
つまり、「登記の提出」はできないため、司法書士と連携することが前提です。しかし、電子定款の対応や許認可申請に強い行政書士であれば、全体の設立プロセスをスムーズに進行できます。
行政書士に依頼する場合の費用内訳(株式会社・合同会社)
行政書士に依頼する際の費用は、設立する会社の種類や、依頼する範囲によって異なります。以下に代表的な費用を整理しました。
◾ 株式会社設立の場合
項目 | 金額(目安) |
---|---|
定款認証手数料 | 約52,000円(公証人) |
定款印紙代(電子定款なら不要) | 40,000円 |
登録免許税 | 150,000円(最低) |
行政書士報酬 | 約100,000円〜150,000円 |
合計(電子定款使用時) | 約250,000円〜340,000円 |
◾ 合同会社設立の場合
項目 | 金額(目安) |
---|---|
定款認証費用 | 不要 |
登録免許税 | 60,000円 |
行政書士報酬 | 50,000円〜100,000円 |
合計 | 約110,000円〜160,000円 |
※依頼先によって報酬は変動します。また、電子定款対応の有無により総額も異なります。
行政書士に会社設立を依頼するメリット
行政書士に会社設立を依頼する最大のメリットは、「電子定款」によって印紙代4万円を節約できることです。さらに以下のようなメリットも挙げられます。
1. 手続きミスの回避
設立時の書類は法的要件を満たす必要があります。行政書士に依頼することで、書類不備による設立遅延を防止できます。
2. 許認可にも強い
行政書士は各種許認可申請のプロです。飲食業・建設業・介護事業など、許可が必要な業種を予定している場合に心強い存在です。
3. 補助金・助成金のサポート
一部の行政書士は、創業時に利用できる補助金・助成金の申請支援も行っており、資金調達の支援も期待できます。
行政書士に依頼する際のデメリットと注意点
もちろん、行政書士に依頼することには注意点もあります。
注意点 | 解説 |
---|---|
登記申請は司法書士に依頼が必要 | 行政書士では対応不可。別途費用と連携が必要 |
報酬額の幅が広い | 同じ内容でも5万円以上の差が出ることも。見積もりは必須 |
業務範囲に限界がある | 税務署の届出や銀行口座開設支援は別の専門家が必要な場合あり |
依頼時は、業務範囲と料金を事前にしっかり確認しましょう。
実際の流れ:行政書士への依頼から会社設立まで
行政書士に会社設立を依頼した場合、以下のような流れで進みます。
- 無料相談・ヒアリング
- 会社の種類、事業目的、資本金などを確認
- 定款の作成・電子認証
- 行政書士が電子定款を作成・公証役場にて認証代行
- 登記書類の準備
- 必要書類を整備(登記申請自体は司法書士へ依頼)
- 法務局への登記申請
- 設立日=登記日。司法書士が対応
- 税務署・社会保険等への届出
- 税理士や社労士との連携がスムーズな行政書士を選ぶと便利
信頼できる行政書士の選び方
行政書士に会社設立を依頼する際は、以下のポイントを意識しましょう。
選び方のポイント | 解説 |
---|---|
電子定款対応の有無 | 非対応だと印紙代4万円が発生する |
許認可申請の実績 | 許可が必要な業種の場合は必須 |
他士業との連携力 | 司法書士・税理士・社労士との連携体制があると安心 |
見積もりの明確さ | 報酬や追加費用の説明が丁寧かどうか |
対応スピード | 設立希望日までに対応可能か確認すること |
よくある質問(Q&A)
Q1. 合同会社の場合、定款認証は不要と聞きましたが本当ですか?
A. はい、合同会社は公証役場での定款認証が不要です。その分、設立コストが抑えられます。
Q2. 電子定款を使うと印紙代は本当にゼロになりますか?
A. はい、紙の定款だと4万円の印紙代がかかりますが、電子定款では不要です。
Q3. 許認可が必要な業種でも行政書士に一括で依頼できますか?
A. 多くの行政書士は許認可申請にも精通しており、一括で対応できる場合があります。ただし、業種ごとに専門性が異なるため確認が必要です。
Q4. 登記は自分でできますか?
A. 可能ですが、ミスがあると補正や差し戻しになるため、司法書士に任せるのが一般的です。
まとめ
会社設立において行政書士を活用することは、時間とコストの最適化に大きく貢献します。とくに電子定款を使った印紙代の節約、許認可や補助金対応の強さは大きなメリットです。
ただし、登記申請は司法書士に依頼する必要があるため、士業連携が整った行政書士事務所を選ぶのが理想です。費用だけでなく、サービス内容や対応の質も含めて比較検討しましょう。