✅この記事のポイント
ポイント | 内容 |
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法人成りの基本 | 個人事業主が会社を設立し、法人として事業を行うこと |
廃業届の提出 | 個人事業を終了する際には必ず「廃業届」が必要 |
提出のタイミング | 原則として廃業日から1か月以内に税務署へ提出 |
提出しない場合のリスク | 税務上のトラブル・二重課税・青色申告の取消などの可能性 |
注意点 | 一部事業だけ法人化する場合は「廃業届を出さない」選択も |
法人成りとは何か?個人事業と法人の違い
個人事業主から株式会社や合同会社などの法人へと移行することを「法人成り」と呼びます。法人成りには以下のようなメリット・デメリットがあります。
法人成りの主なメリット
- 社会的信用が高まり、取引の幅が広がる
- 節税効果(所得分散・役員報酬・経費計上)
- 資金調達しやすくなる
法人成りのデメリット
- 会計・税務処理が複雑化
- 登記や社会保険加入など手続きが増える
- 設立費用・維持費がかかる
廃業届とは?いつ・誰が提出が必要か
廃業届とは?
個人事業を終了した際に、税務署に提出する書類が「個人事業の廃業届出書」です。正式名称は以下の通りです。
- 書類名:個人事業の開業・廃業等届出書
提出が必要な人
- 個人事業を完全にやめた人
- 個人事業を法人に引き継いだ人(法人成り)
- 休業ではなく廃業する場合
廃業届の提出方法と必要書類
手続き項目 | 詳細内容 |
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提出先 | 管轄の税務署 |
提出期限 | 廃業日から1か月以内 |
提出方法 | 税務署窓口・郵送・e-Tax |
必要書類 | 「個人事業の開業・廃業等届出書」1通 |
添付書類 | 基本的に不要だが、青色申告の場合は「青色申告の取りやめ届出書」も必要 |
廃業届の提出タイミング:個人事業終了〜法人設立まで
法人を設立する場合、「個人事業の廃業日」と「法人設立日」はできる限り一致させるのが理想です。
例えば、以下のようなスケジュールが望ましいです。
スケジュール例 | 内容 |
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9月30日 | 個人事業の営業終了(廃業日) |
10月1日 | 法人登記完了(設立日) |
~10月31日 | 廃業届を税務署に提出 |
ずれると「個人・法人の事業が重複して存在」する状態となり、税務上の整理が複雑になります。
法人成りと廃業届の注意点:提出しない方がよいケースとは?
廃業届をあえて出さないケース
以下のような場合は、廃業届を提出しないという選択も考慮されます。
ケース | 理由 |
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一部事業を法人化 | 残りの事業は個人で継続するため廃業には該当しない |
青色申告を維持したい | 廃業すると再度申請が必要になり、税制上の損失もあり得る |
ただし、「法人と個人事業を明確に区分」することが必要です。経費の混在や収支の管理ミスがあると、税務署から指摘を受ける可能性があります。
法人設立後の残務対応:税務署届出・社会保険・銀行口座など
税務署へ提出する書類一覧(法人)
書類名 | 提出期限 |
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法人設立届出書 | 設立から2か月以内 |
青色申告の承認申請書 | 設立日から3か月以内 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 給与支払いがある場合は即時 |
源泉所得税の納期の特例申請書 | 任意(給与支給が月2回以下の場合) |
社会保険と口座関連
- 法人設立後は社会保険の加入義務が発生(健康保険・厚生年金)
- 法人口座開設のために「登記簿謄本」や「印鑑証明」が必要
よくある失敗例とその防ぎ方
失敗例 | 防止策 |
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廃業届の提出漏れ | 設立スケジュールと合わせて事前に準備 |
法人設立後も個人事業名義で請求書を出し続けた | 名義変更の徹底と取引先への周知 |
青色申告の取りやめを失念 | 個人の青色申告特典を無効化しないよう、確実な書類提出 |
❓よくある質問(FAQ)
Q1. 法人成りしても、本当に必ず廃業届は必要?
A. はい、事業をすべて法人に引き継ぐ場合は必須です。ただし一部事業を個人で継続するなら不要なこともあります。
Q2. 廃業届を出す期限は?遅れるとどうなる?
A. 原則「廃業日から1か月以内」。遅れた場合でも罰則はありませんが、税務処理が煩雑化します。
Q3. 複数事業のうち一部だけ法人に切り替える場合はどうする?
A. 法人化する事業と個人で続ける事業を明確に区分し、廃業届は出さない選択も可能です。
Q4. 廃業届を出さない方がよいと言われるのはどういうケース?
A. 青色申告を維持したい場合や、個人名義の口座・契約が多い場合には廃業しないほうが管理しやすいケースもあります。
Q5. 法人成りの手続き、どこから手をつければいい?
A. まずは税理士・行政書士に相談して、スケジュールと手順の設計から始めるのがおすすめです。
✅まとめ:法人成りと個人事業の廃業はセットで計画を!
- 法人成りには「個人事業の廃業届」がセットで必要になるケースがほとんど
- 提出タイミングや書類不備は後の税務トラブルのもと
- 一部事業のみ法人化する場合などは、例外的に提出しない選択肢もある
事前にしっかり準備し、専門家と連携して進めることで、スムーズかつトラブルのない法人化が実現できます。